医食同源|ニシンは気力・体力を増進させる「東で多く獲れる魚」

ニシンは卵が多いので「妊娠魚」、または「二身=その身を二つに割いて料理する」ことからその名前が付けられた、という説があります。二つに割った背側は「身欠」として食用にし、腹側の方は肥料として活用されていました。

また、ニシンは「鰊」とも「鯡」とも書きますが、「鰊」は「東で多く獲れる魚」という意味があり、「鯡」は米作の出来なかった北海道で「米ではないが米と同等の価値がある」という意味を込めたて「魚に非ず」となったようです。松前藩では、米の代わりにニシンが納められていたこともあり、ニシンが「石」で測られていた所以でもあります。

親潮など寒流に育ち、カムチャッカ、アリューシャン辺りを回遊し、春になると北海道に姿を現すので、ウグイスが「春告鳥」と呼ばれるように、ニシンは「春告魚」と呼ばれることもあります。

産卵のために沿岸に大挙してニシンが来ると、かつては海の色が変わるほどで、その2~3日の間の漁で網元の漁師は莫大な利益を得、いわゆる「ニシン御殿」を建てた程でした。しかし、それも今は昔。「海が盛り上げる程」押し寄せたニシンも、昭和29年以降、北海道ではあまり獲れなくなり、今は殆どロシアからの輸入に頼っています。

イワシの仲間なので、イワシと同様に鮮度が落ちやすく、小骨も多いので、ニシンが嫌いな人もいますが、ニシンの子である「数の子」を嫌う人は少ない様です。

ニシンのことをアイヌ語で「カド」と言いますが、「カドの子」がなまって「カズノコ」になりました。「カズノコ」は「数の子」に通じ、子孫繁栄を願う縁起の良い食べ物として、正月のお節料理には欠かせません。

ニシンは海藻に卵を産み付けますが、これが「子持ち昆布」。雌が海藻に卵を産むと、すぐに雄は精液をかけますが、この精液で海が真っ白になることを「クキジル=群来汁」と言います。

『本朝食鑑』によると、ニシンは「房総、常陸、奥羽などの海浜や、利根川の河口で獲れた」とのことで、「腸を助け、陰を補い、腹中を温め、気を健やかにする」とあり、「胃腸の働きをよくし、気力・体力をつける」効能があることがわかります。

生でも、燻製でも、酢漬けでも食べられますが、塩ニシン、コンブ、ジャガイモ、人参、玉ネギなどを入れて煮込んだ「三平汁」は有名です。

【出典】医者いらずの食べ物事典 石原結實著

スポンサード・リンク


関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

スポンサードリンク

カテゴリー

『カイテキオリゴ』(赤ちゃんページ)

ピックアップ記事

  1. 大豆油、菜種油、ゴマ油、紅花油、オリーブ油、コーン油などの薬効について簡単にまとめた。植物油は、すべ…
  2. 梅干しには極端な食べ物(肉など極陽性の食べ物やアルコールなど極陰性の飲み物・食べ物)の害を中和する働…
  3. 米酢などの醸造酢に含まれる酢酸などの有機酸は、食欲増進作用を持ち、疲労物質の乳酸を分解し、疲労回復効…
  4. 「土用シジミは腹薬」「シジミの味噌汁は肝臓によい」「シジミは黄疸に効く」の根拠として、① タウリンを…
  5. フグの肉は脂の少ない白身で、グルタミン酸、イノシン酸を多く含むので、淡白な旨味があり、しかもタウリン…
  6. ハモはウナギやアナゴ同様、ビタミンAの含有量が抜群に多く、夏バテ予防には最適。…
  7. スズキは白身の魚だが、脂の溜まりやすい肉質のため、ビタミンAが180IU、ビタミンDが290IUと脂…
ページ上部へ戻る