医食同源|ウナギは夏のビタミンA補給に欠かせない「土曜の丑の定番」

ウナギは深海で産卵し、かえった稚魚は何千kmもの海を渡って春に日本の河川に戻ってきます(遡河という)が、北日本や日本海側への遡河はごくわずかで、大部分は太平洋側の川へ戻ってきます。

ウナギの腹からは、なかなか卵が見つからないので、沿岸に近づいた稚魚(シラスウナギ)を捕えて養殖しています。ウナギの「ウナ」は「ヌラリ、クラリしている様子」を表し、「ギ」は魚を意味する接尾語です。

ウナギの体表がヌルヌルして捕まえにくいのは、ムコプロテインというタンパク質のためで、ウロコのない皮膚を保護する役目をしています。このムコプロテインは、胃腸の粘膜を保護し、消化・吸収を助けてくれます。

ところで、日本人は夏場にビタミンAが不足するような食生活をしているため、7月の土曜の丑の日にウナギを食べる習慣ができたのでしょう。

内臓、皮膚、眼、粘膜などを強化し、免疫力を旺盛にしてくれるビタミンAやレチノールは、イワシの100倍、牛肉の200倍も含んでいる上に、若返り用のビタミンE、疲労回復に欠かせないビタミンB1、美肌作りに必要なコラーゲンや血液をサラサラにして血栓症(心筋梗塞や脳梗塞)を防ぐEPA、脳の働きを高めるDHAなども、ウナギには豊富に含まれています。

ウナギが夏バテに有効なことは、すでに奈良時代から知られており、『万葉集』の中にも、大伴家持が「石麻呂に われ申す 夏やせに よしというものぞ 武奈伎(ウナギの意)とりめせ」と詠んでいます。

日本以外では、北欧でよくウナギは食べられており、世界で初めてウナギを食べたのはスカンジナビア半島の人とされています。ドイツのハンブルクには名物の『アールズッペ(ウナギのスープ)』があるし、イギリスでは、煮込んだぶつ切りウナギを冷やしてゼリー状にした『ジェリード・イール』が有名です。また南欧のイタリアでも煮込んだウナギを食べるし、スペインではシラスウナギの唐揚げを食べる習慣があります。

ウナギの肝(肝臓や内臓)には、ビタミンAがウナギの肉の3倍も含まれているので、さらに優れた栄養素となります。

なお、「ウナギと梅干しは食い合わせが悪い」と言われるのは、ウナギの脂が梅干しの酸で固まるためでしょう。

【出典】医者いらずの食べ物事典 石原結實著

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