戦後になって革命的に変わった日本人の食事

■異様に多いグルメ番組

「飽食の時代」と言われてから久しい。いつの頃からそう言われ始めたのでしょうか?すくなくとも1,980年代後半のバブル期頂点の頃は、飽食の頂点でもありました。しかし、バブル経済のはじけた時代を過ぎて新世紀の2,000年を迎え、それから17年も経ちます。しかし、飽食は相変わらず続いています。

外国の知人が日本のテレビ番組について指摘して言うには、「日本は[食べる]番組がもの凄く多い」のだそうです。確かに言われてみればその通りで、芸能人、タレントが街歩きしながらレストランを訪ねていく番組とか、有名人御用達のA級グルメとか、旅行番組には必ずその地方や旅館の自慢料理が紹介されるなど、どこかのチャンネルで必ず「食」が題材になっています。

日本ではこれが普通だと何の感慨も抱きませんが、外国人から見るととても奇異なことのように映るようです。最もそれだけ日本の食文化が豊かなのですが…

食事の質、内容、食事の摂り方、そして考え方がすっかり完全に一変したのは、やはり戦後からです。特に経済が安定し始めた昭和30年代後半からは、様々な文化と共に「欧米の食文化」が隆盛を誇るようになっていきました。世の中が平和になり、経済安定して豊かになったとき、真っ先に進行したのは、食生活の変貌でした。いつの日かからか「グルメ」という言葉も聞かれるようになりました。


■戦後になって革命的に変わった日本人の食事

戦後の食生活の変貌は、実は歴史に残るほど革命的な変貌であったのですが、不思議なくらいスムーズに家庭に侵入し、根付き固着してしまったのです。戦後になっていつの日からか、日本の家庭の食卓は、タンパク質が必要との固定観念から、肉や魚や卵が必ず食卓につくようになり、牛乳やチーズ・バターが姿を現し、それらが今や必需品となりました。

また、朝食が重視されるようになり、主食にパンが加わり、「30品目のおかず」摂取の指導がなされた結果、おかずがバラエティに富み量も多くなりました。さらに、朝昼晩三食の食事摂取の定番化、午前10時と午後3時のおやつの習慣化、食後のデザートの摂取、世界各国の食事(民族食を含む)摂取の容易化、砂糖の消費量の増加などといったことが当然のごとく常識となってきたのです。

同時に外食ブームも重なり、本当に多種多様の食事処(レストラン)が出現し、人々の胃袋を簡単に満たすことが出来るようになりました。こういったことは、実は長い歴史から見れば、まったく短期的であり、革命的な出来事でした。

今の日本人は、このようなことは常識のことと思うでしょうし、当たり前のことのように受け止めています。しかし、これらのどれ一つをとっても長い日本の歴史の中では初めてと言ってよいほどの経験であり、すべて新しいことであったのです。ところで、日本人は何故こうも簡単にこの新しい全く初めてのことを受け入れ、常態化してしまったのでしょうか?

食事の内容が変わるなどということは、そう簡単ではないのです。アメリカが戦争に勝ったからといって、敗戦国がすべてアメリカ食になるなんてことはありません。実際、第二次世界大戦の同じ敗戦国であるイタリアで、アメリカ食が好んで食べられているなどということは聞きません。

■戦後の食生活の変化を整理すると…

戦前までは常識化していなかったこと(戦後に行われたこと)、日常的になかったことを整理すると次のようになります。

・主食は少なく、おかずはバラエティに富み種類を多く(理想は30品目)
・朝食はしっかり栄養のあるものを摂取
・朝食、昼食、夕食という一日三回の食事の固定化
・午前10時と午後3時がおやつの時間となった(間食が増加)
・三大栄養素(タンパク質、脂肪、炭水化物)の確実な摂取、特にタンパク質が大切と強調

・砂糖消費の増加
・添加物の増加
・残留農薬の増加
・世界各国の特徴のある食事の参入
・牛乳の増加とチーズ・バターの増加

・パン食の増加
・油の増加(特にリノール酸油、トランス型油の増加)
・加工食品の増加
・肉食の増加
・南方産果物の食卓への参入

・生野菜は冷えるので、煮たり炒めたりした方がよいという調理指導
・フルーツも同様に体を冷やすので、減らした方がよいという栄養指導
・季節に関係なく食物摂取が容易
・2,000年を超えて日本は野菜の摂取量が減少した

後も早70数年以上経ちました。そして、この70数年間で日本人の栄養の摂り方も大きく変わったのです。これらをまとめると次の6点に集約されるでしょう。

① 高タンパク質(特に動物性)
② 高脂肪
③ 高糖分(砂糖)
④ 高カロリー
⑤ 低繊維
⑥ 酵素不足

これらに加えて、医師や栄養士の間違った栄養指導も悪い食物摂取を助長する要因となったことは間違いないと思われます。

こうした食生活の変化は、日本の国際化や経済発展による物質的生活の豊かさの向上がもたらしたことも要因として挙げられますし、この他食品保存法の確立(冷蔵庫、真空パックや添加物など)や西洋的栄養学の教育(カロリー重視)、マスメディアによる情報の拡散、大量宣伝などによって、日本人の食生活のスタイルは大きく変わってきました。それは今日も続いています。

【出典】食物療法大全「食」による病気治しの考証 鶴見隆史著

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