戦後、欧米の栄養学が日本に流れ込んできました。その内容は、一言で言えば「入れたものは身体に入る」、これが基本であり、結論です。だから、すべからく栄養分析表で何々という栄養素がどのくらいあって……という「入れる側」に立った考え方です。

この栄養学には大きな落とし穴と間違いがあります。それは「入れればそのまま入るとは限らない」ということです。その大きな間違いは、タンパク質とカルシウムです。

このふたつは「入れれば入るとは限らない」を地で行っている代表的な栄養成分です。カルシウムについては牛乳の処でも述べましたが、タンパク質も摂ればそのまま吸収されると思ったら大間違いで、カルシウムを摂るとき、同時に摂ると邪魔になるタンパク質は、それ自体も大変問題の多い栄養素です。

タンパク質は、最も需要であることから「第1の」という意味でプロテインと名付けられた訳ですが、本当に最も重要かというと疑問です。

【目次】
1.「タンパク質が足りないよ」の影響
2. プロテイン(アミノ酸)指数の危うさ
【心筋梗塞で死亡した患者[62歳]の例】
■卵に含まれる「オボムコイド」が毒


1.「タンパク質が足りないよ」の影響

東京オリンピックの頃(1,964年)に、テレビやラジオで大流行したコマーシャルが評判になり、そのフレーズ「タンパク質が足りないよ」が私たちの頭にしっかりとインプットされました。

タンパク質の多いものを食べないとよい筋肉が出来ない、そう思った人はさぞ多かったことと思います。実際、栄養学でもそのように教えていたのです。タンパク質が最も重要な栄養であると解釈され、動物性食品が穀物よりも重要と考えられるようになりました。

しかし、1,901年、エール大学のラッセル・チッテンデンは、1日120gのタンパク質必要量は1/3に下げるべきだと主張しました。チッテンデンは何人もの被験者を使い研究を重ねた結果、「平均36g/日のタンパク質と2,000kcal/日の栄養を摂取すれば健康を維持できる」と発表し、次のように結論づけたのです。

・タンパク質は体組織に蓄積出来ない
・身体は余分なタンパク質を処理するためにエネルギーを浪費する
・余分なタンパク質は大腸内で発酵しながら腐敗毒を出す
・タンパク質はエネルギー源として必要なものではない。何故なら、エネルギー量が多く老廃物が少ないという点では炭水化物と脂肪の方がよほど優れている
・動物タンパクと植物タンパクを適切な比率で摂らなくてはならない

【出典】食物療法大全「食」による病気治しの考証 鶴見隆史著

2. プロテイン(アミノ酸)指数の危うさ


【出典】http://amino.kenkatu.com/

鶏卵についてもよくないデータが出ています。滋賀医科歯科大学の調査で分かったことですが、「鶏卵を1日2個以上食べると死亡率は2倍にも跳ね上がる」と発表したのです(2,003年9月)。3~4個を毎日食べ続けると、死亡率はもっと高くなるに違いありません。

滋賀医大によると、日本人はコレステロールの48%を卵から摂取しており、栄養指導上の注意事項となっています。しかし、摂取量と死亡率との研究は国内にありませんでした。そこで滋賀医大は1,990年から14年間、30歳以上の男女約10,000人を対象に、卵の摂取量と総コレステロール値、総死亡率、心筋梗塞による死亡率などを追跡調査しました。

1,000人当たりの年間死者数で比較した結果、

・1週間に1~2個の卵を食べた女性の死亡数 7.5人
・1日に2個以上の卵を食べた女性の死亡数 14.8人
・心筋梗塞による死亡は、1日1個以下    0.4~0.5人
・    〃      1日2個以上    1.1人

卵の摂取量が多いほど、血中のコレステロール値も高かったということです。卵の摂取量がどう健康に影響するのか、ひとつの事例を挙げてみます。

【心筋梗塞で死亡した患者[62歳]の例】
彼女はスポーツジムのトレーナーに卵の良さを説かれました。「鶏卵はプロテイン指数(アミノ酸指数)が100点なんだよ。よいタンパクの補充でこれほど優れているものはない。納豆は精々68ぐらい。卵を1日6個食べるとよい筋肉が出来る」

彼女はこれを信じました。プロテイン指数という言葉にしびれました。何故なら、彼女は筋肉が落ちていて痩せていたからです。

そして、毎日せっせと鶏卵を食べるようになりました。1日4個以上、5~6個の日も。しかし、体調はよくならなかったし、筋肉が付いた気もしませんでした。この女性は3ヶ月ほど経つと、胸が苦しいと言い始め、病院で検査したら心筋梗塞でした。そして入院中に死亡しました。

私(鶴見隆史先生)のクリニックには心筋梗塞の患者さんが何人も来ていますが、殆どの人が卵を多く食べているのには驚きました。滋賀医大の報告書は間違いないと確信したことでした。

「プロテイン指数(アミノ酸指数)」などという言葉に騙されてはいけません。ちなみに納豆のプロテイン指数は、2,010年には100点と訂正されています。ネズミで計ったために体毛にメチオニンが奪われ低くなっただけと判明したのです。体毛のない人間では100点でした。

■卵に含まれる「オボムコイド」が毒
卵が何が毒なのか?それは鶏卵の白身に存在する「オボムコイド」というタンパク質が、人にとってよいものではないということです。

オボムコイドは強烈な酵素阻害剤です。大変消化が悪く腸で腐敗しやすい。それ故、鶏卵の過剰摂取は色々な病気の要因になります。

鶏卵を食べるなら1日1個以内、週に5個以内が望ましい。さらに言うならば、黄身だけにすべきです。黄身はコレステロールであり殆んど問題ないからです。鶏卵は病人の健康を考えるとむしろ止めておくべき食品なのです。

【出典】食物療法大全「食」による病気治しの考証 鶴見隆史著

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