食物繊維の1日当たり目標摂取量は20~25g(1,000kcal当たり10g)とされています。私は30~40gが理想だと思っています。そうでなければよい大便がしっかり出るはずがないからです。しかしながら、現在の日本人の食物繊維摂取量は平均16gで少ない。

「第六の栄養素」なので主役的扱いはされませんが、次のように、食物繊維の有用な作用はとても多く、食物繊維を摂取することがいかに重要なかが分ります。

■食物繊維の数々の効用

・便の構成要素となり便量を増大し便秘を防ぐ
・発ガン物質や有害菌、有害物質を吸着し体外に排泄する
・消化管の働きを活発にする
・糖の吸収速度を遅くし、食後の急激な血糖値上昇を防ぐ
・唾液分泌を増す(咀嚼が多い場合)

・胆汁酸を吸着し体外に排泄する
・コレステロールの余分な吸収を防ぐ
・ナトリウムの過剰を防ぐ
・腸内での有用菌(善玉菌)の餌になり有用菌を増やし腸内環境を改善する
・胃袋がいっぱいになり過食しにくくなり、そのためカロリー制限できる

・粘性の食物繊維ほど小腸に分泌される膵液と胆汁の液や酵素の量を多くする
・腸の蠕動を活発にし、内容物を速やかに移動させる
・水溶性食物繊維は短鎖脂肪酸をつくり、これがありとあらゆる作用をする


a. 不溶性食物繊維の作用と効果

不溶性食物繊維を多く摂ると、保水性が高いため水分を多く吸収し、カサが増すことにより腸脳反射により腸蠕動が増し、便量は大変多くなります。不溶性食物繊維は便秘解消にはもってこいの物質であり、同時に憩室も痔も静脈瘤の防止にも貢献します。

不溶性食物繊維には次のような疾病に有効に働く作用があります。便秘、ガン、憩室、感染症、肥満、高脂血症、虫歯、心疾患、高血圧、裂孔ヘルニア、脳卒中、動脈硬化、痔、静脈瘤、虫垂炎、心臓病、甲状腺病など。

b. 水溶性食物繊維の作用と効果

水溶性食物繊維は、主にエステロールや胆汁酸を吸着し、腸内からの吸収を抑制して血清コレステロール値を低下させたりコレステロール胆石を予防したり、糖質の胃腸内滞留時間を延長し、小腸からの吸収を阻害し、血糖値上昇を防ぎインスリンの節約作用をもたらし、糖尿病の予防となります。その他、肥満・高脂血症、高血圧の予防にも効果があります。

水溶性食物繊維には粘性があり、消化吸収を遅らせたり阻害する働きが強くあります。余分な脂肪や発ガン物質などの有害物質を吸着して便に捨てる働きがあります。

また、ビフィズス菌などの善玉菌を増やし、発ガン物質を作る悪玉菌を抑え、腸内細菌叢のバランスをよくする働きもあります。善玉菌は水溶性食物繊維を発酵させ短鎖脂肪酸という有機酸を作ります。有機酸は身体の免疫力を刺激し、大腸壁の細胞を正常に増殖させます。

さらに、有機酸は腸内を酸性にするため、アルカリ性で活発に働く悪玉菌(ウェルシュ菌や大腸菌)が繁殖するのを抑制します。その他、水溶性食物繊維はコレステロールを含む胆汁酸や食物中のコレステロールを吸着して便に排泄したり、コレステロールや中性脂肪の消化管からの吸収を抑えたり遅らせたりする働きもあります。

このような働きから、主にコレステロール値を改善し、高脂血症や虚血性心疾患、胆石(コレステロール結石)の予防となります。また、水溶性食物繊維は食物をくず湯のようにしてしまい、吸収がゆっくりであるため、血糖も上がりにくくします。インスリン・スパイクにもなりません。

これらの作用以上に注目したいのは、水溶性食物繊維が短鎖脂肪酸を作り出すことです。

c. 排便、その他の効果

日本人の平均便量は200g/日前後ですが、300~400gが望ましいとされています。しかし、私は400~500gが理想だと思っています。500gでもよいでしょう。理想の便は、太くて長い形でしっかりし、においはいわゆる便臭程度で臭くなく、あるいはまったく匂わず、やや水に浮き、排便回数は1日2~3回が望ましいでしょう。食物繊維はこの排便に大きな効果を発揮します。

また、食物繊維は小腸の粘膜を保護します。ダイオキシンなどの脂肪に吸着させ、脂肪の排泄を促進させるので、脂肪組織も小さくなります。

食物繊維によるミネラルの排泄促進は不思議ですが選択的です。例えば、玄米にはフィチン酸があり、ミネラルを吸着し過ぎるのではないかと言われていますが、12時間以上水につけてから悪い物質のみを吸着し、必要以上にミネラルを吸着しないことが経験的に分かっています。

【出典】食物療法大全「食」による病気治しの考証 鶴見隆史著

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