■毎秒1,000万個の細胞が新陳代謝

私たちの体は、およそ100兆個の細胞で出来ています。そして、体内では、毎秒1,000万個の古くなった細胞が崩壊し、代わりに新しい細胞が生まれています。その新陳代謝のプロセスで、酵素が働かずに進む作業は一つもありません。

反対に、酵素は細胞の中から産まれてきます。正確に言うと、細胞の核にあるDNAからです。すべての細胞の中心には細胞核があり、遺伝情報を伝える二重らせんのDNAを格納しています。このDNAは、よく「タンパク質の設計図」と言われていますが、もっと重要なのが「酵素をつくる働き」です。

酵素の研究は、1,883年のジアスターゼ(アミラーゼ)から始まりました。ところが、20世紀に入ってすぐ、「酵素はタンパク質で出来ている」「したがって、タンパク質を摂れば酵素も補給出来る」という間違った説が広がり、ずっと定着してしまいました。酵素は、タンパク質とは全く異なる物質なのに、活動するためにまとっている”タンパク質の殻”と同一視されてしまったのです。

1,980年代に入って、エドワード・ハウエル博士のの研究が酵素に脚光を当てるまで、酵素は栄養学の中で二次的、補助的な存在と見做されました。ハウエル博士は、「酵素=タンパク質」とされたことで、酵素栄養学は50年遅れてしまったと述べています。


■酵素が起こす反応こそ生命活動の根源

よく「ミクロの世界」と言いますが、酵素の世界は、ミクロよりもさらに1,000倍も小さい、ナノメートル単位です。1個の酵素の大きさは、凡そ5~20ナノメートル。20世紀の初頭では、その小ささゆえに、タンパク質と区別できず、間違った説がはびこることになったとも言えるでしょう。

酵素には、一つの酵素が一つの化学反応を受け持つ「基質特異性」というものがあります。それはどういうことかと言うと、酵素は種類ごとに、分解または合成する物質(基質)がうまく入り込むような”鍵穴”を持っているのです。

酵素は、この鍵穴にピッタリとあてはまる特定の物質をつかまえ、素早く化学反応を起こします。この反応は、1分間に100回から100万回という高速で繰り返されています。この働きがなければ、私たちの生命活動はたちまちストップします。正に、酵素が起こす反応こそ生命活動の根源なのです。

酵素は、温度が概ね48℃以上になると失活してしまいます。その理由は、酵素の形が微妙に歪むために、鍵穴にピッタリと基質がはまり込めなくなるからです。酵素は、タンパク質という殻に包まれ、体内のあらゆる活動に触媒としてかかわる「生命体」のような存在だと言えます。

【出典】患者とのためのがんが消える補完代替医療 林田 学、鶴見 隆史共著

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